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2022-06-16 

【コラム№17】猫のネーミングのお話 2

こんにちはZCCの花島です。6月に入り動物愛護管理法が改正され、マイクロチップ装着の義務化、飼養施設の基準、犬猫の繁殖頭数の制限、従業員の制限等が実施され、対応は進んでいますでしょうか。この時期梅雨を控え気温の変化が激しいのでくれぐれも人、動物の体調の変化に注意をしてください。
 
さて、先月のコラムでアメリカンショートヘアの歴史についてお話をしましたが、読んだ方から「全く知らなかった」「勉強しないとダメだね」などの反響をいただきました。
今回も皆さんがよく知っているアビシニアンについて取り上げてみたいと思います。まず歴史的背景は後にして、アビシニアンがなぜ1品種として取り上げられるようになったかということですが、これは被毛に特徴があるからです。一般的には猫の1本の毛は根本から毛先まで1色か2色(毛先に色がついた状態)なのです。

アフリカからイギリスへ連れてこられた猫がこれに該当せず、1本の毛が何色にも色分けされていることが判り珍しい猫ということでイギリスで公認された訳です。アビシニアンの毛色は毛の先端が一番濃くて根元に行くに従って明度が段階的に薄くなっている珍しい被毛なのです。ですから当初はルディー、ブルー、レッド、フォーンの4色をアビシニアンカラーと呼んでいました。しかし後に同じ様な特徴の毛色のソマリやシンガプーラの発見でアビシニアンカラーから猫本来の毛の状態を表すアグーティーカラーと呼ばれる様になりました。毛色にレッドという言葉があったりしますがこの色素は茶系の色素ではなく黒系の色素ですから、黒系のルディーと茶系のレッドを掛け合わせても二毛や三毛のアビシニアンは生まれないのですね。
 
それではアフリカのエチオピアの猫の発生国がイギリスになったかという歴史的背景ですが、アビシニアンの名称はその猫の見つかったアフリカのエチオピアのヨーロッパ側からの呼び名に由来しています。ヨーロッパの国々から長年に渡り侵略戦争があり、第一次アビシニア戦争時のイギリス軍とのマグラダの戦いの後、一人のイギリス兵がアビシニアの猫をイギリスに持ち帰ったというのが通説の様です。その後エチオピアは第一次エチオピア戦争で敗退したイタリアから侵攻を受け植民地化され、第二次世界大戦後イギリスにより再び独立を果たしました。一時は世界最貧国と呼ばれた時代もあったようです。

ですから猫の文化など成熟していない国から連れて行かれた一匹の猫が、今では世界中で愛される猫になったのですからとても貴重な偶然だと思います。エチオピアンショートヘアなんて名前でも良いのでしょうが、もう少し洒落っ気のある名前ということでアビシニアからアビシニアンという猫名になったのでしょうか。似たような品種にシャム(サイアミーズ)がいます。こちらは今の国名はタイですね。アビシニアンは戦争によって見つかった奇遇の猫ということでしょうか。

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