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2023-08-17 

【コラム№31】白毛と青目の難聴について

こんにちは、ZCCの花島です。
8月に入り異常なほどの高い気温が続いております。私が子供の頃(既に還暦は過ぎています。)夏休みの日記帳に気温を書く際、30度を越す日があると「今日はとても暑い日でした」などと書いた記憶があり、またそんな日は数えるほどだったと記憶しています。今の気温は高い日は38度近くになり、人にとっては平均体温を超え、猫にとっても体温と同じ気温になっていますから、エアコンなしの生活は危険となってきています。今年、長野の豪雪地帯にアメリカンショートヘアーと暮らす友人から、「今年の夏の暑さは異常で、さすがに厳しいので人生初めてエアコンを買った」と連絡がありました。温暖化による気象異常は日本のみならず世界中で影響が出てきており、8月初旬のハワイ、マウイ島の山火事で多くの犠牲者や行方不明者が出たり、デスバレーでは50度を超える気温になったりと、今後の夏の過ごし方は今以上に厳しくなると想像されます。野良猫たちも熱中症で亡くなった子もいるとの話もありますので、熱中症対策充分に行い今年の夏を乗り切ってください。

さて今月はみなさん聞いたことがあると思うのですが「白い猫で青い目をした子は耳が聞こえない」という話題を取り上げてみたいと思います。耳が聞こえない理由として1,先天的な原因、2,高齢化による難聴、3,耳の怪我による難聴等があります。人はよく高齢になると多くの方が難聴になるようですが、もちろん猫も高齢での難聴はあるようです。今回の「白毛と青目の難聴」は先天的な原因となります。先天的な原因というと遺伝子が大きく作用していることが多いので、今回も白毛の遺伝子と目色の色素の遺伝子が難聴の原因となっていると思います。まずは耳が聞こえないと言う物理的要素は何かというと、耳の構造は外耳・中耳・内耳からなります。音は外耳から入り、鼓膜に達し、耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)を通して蝸牛に伝達されます。そして蝸牛内部に並んだ有毛細胞が音の刺激を受け、脳に電気信号を送ります。ですから構造的に一番大切な器官は有毛細胞ということです。人が高齢になり難聴になっていくのはこの有毛細胞が欠損して音を伝達する機能が弱くなるということです。ですから「白毛と青目の難聴」はこの有毛細胞の欠損が原因となるようです。欠損の理由はもちろん白毛遺伝子と青目遺伝子が組み合わさった際に起こる遺伝的要素です。白毛の猫になるためには優性白色遺伝子(W)であり全ての色素の発色を止めてしまいます。色素のメラニンは皮膚、目の色に関わる一方で、内耳が正常に機能するために不可欠な役割も持っています。そのためにある遺伝子に作用するとメラノサイトが正常に作られず、青目になったり有毛細胞の欠損が起こります。白毛の猫と言っても(W,W)と(W,w)の白毛がいますので全ての白毛が難聴というわけではないのです。あるデータによると目色がブルーではない白猫の聴覚障害発生率は17~20%、両目がブルーの白猫の聴覚障害発生率は65~85%との結果が出ているようです。片目がブルー、反対の目がブルー以外の目色(オッドアイ)の場合は、目色がブルーの方の耳に障害が出ることが多いようで、その発生確率は30~40%ほどと言われています。似た病気で人においては「ワーデンブルク症候群」があります。ご参考にしてみてください。

最後に難聴の猫を飼う場合の注意点をいくつか挙げてみたいと思います。耳が聞こえないというのは音のストレスはないというメリット?と音による外界の様子がわからないというデメリットがあります。第一に、猫と触れ合うときは必ず正面から接するということです。そして音(声)がなくても暮らせる習慣や環境を作ってあげるということだと思います。もちろん音の聞こえない猫は交通事故に遭う可能性が高いので必ず室内飼養で対応してあげてください。

まだまだ暑い日が続きますが充分熱中症対策に留意してお過ごしください。

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