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2024-01-16 

【コラム№36】新年のご挨拶とラプロスについて

 2024年、明けましておめでとうございます。ZCCの花島です。
例年であれは新年を迎え穏やかな1年のスタートとなるのですが、元旦に能登半島で大きな地震があり、多くの建物が倒壊し、道路の寸断で孤立している地域が多数あり、被害の実態がまだまだ確認出来ていないようです。日々伝えられてくる情報では死亡者の数も増え、街の損壊の酷さに心を痛められます。そして2日には、日航機と海上保安庁の飛行機が衝突し炎上、奇跡的に日航機の乗員は全員脱出することができましたが、能登地震の救援に向かう予定であった海上保安庁の乗組員は5名が亡くなるという悲しい結果となりました。ご冥福をお祈りし、能登地震で被災された方々の生活が1日でも早く建て直ることを祈念したいと思います。

 本年もZCCは会員の皆様に有益な情報の提供、会報の発行、専門学校の学生へのキャットマイスター試験の実施とサポート、勉強会、キャットショーの開催と昨年以上に展開していく所存ですのでよろしくお願い申し上げます。

 さて年初のコラムですので猫にとって一つ有益な情報をお伝えしたいと思います。それは愛猫に長生きをしてもらうためにはどのような対策が良いかということです。ご存知のように高齢の猫の代表的な病気は慢性腎臓病です。慢性腎臓病は8歳以上の猫の3割近くが患っていると言われています。猫の腎臓の機能は長い年月をかけてゆっくりと低下していきます。症状としては多飲多尿、食欲不振、体重減少などが見られます。腎臓は血中の老廃物や不要な成分を尿として排泄したり、血圧の調節、増血に関わるホルモンの分泌など様々な働きをしてくれます。しかしながら慢性腎不全は進行性の病気なので、失ってしまった腎臓の機能は回復することが不可能という悲しい現実があります。症状が現れる頃には、すでに腎機能が低下している訳ですから早い時期から定期検診をして猫の腎臓の状態を知っておくことが大切です。治療としては早い時期から腎臓に負担の少ない食事療法や脱水するので、ウエットフードや水分の補給をしっかり与えることが大切だと思います。
 「ラプロス」という猫の腎臓病予防で注目を浴びている薬をご存知でしょうか?我が家の猫も10歳頃から投薬を始め、随分腎臓の機能は低下し体重も落ちましたが、今年18歳を迎えることができるのではないかと期待をしています。病院の担当医も早い時期から腎臓病に取り組んだ結果で今があると言います。猫の腎臓病は一般的に4つのステージで評価されます。ステージ1は残存腎機能が33%、ステージ2が25%、ステージ3が10%以下、ステージ4が5%以下と言われます。ステージ1では、なかなか病気の発見が難しいですがステージ2では多飲多尿が認められ血液検査で血中クレアチニンの増加等で腎機能の低下が確認できます。この時点ではすでに腎機能は1/4まで低下しているので「ラプロス」などを使うことによりステージの期間を伸ばす再生医療ができます。ステージ3に進むと、老廃物などの有機物質を尿中に排泄することができなくなり尿毒症を発症し始めます。ステージ4は重篤な症状が現れ生命維持が難しくなります。ですから、ステージ1からステージ2の段階で早い時期に「ラプロス」等の有効な薬や食事の改善で腎機能の低下を遅らせることで、大切な愛猫を長生きさせることができるということです。今我が家の猫は点滴による水分の補給、ラプロス、腎臓病食、サプリメントで元気な頃と比べると活動量は減りましたが、まだまだ一緒に暮らせるという楽しみが保たれています。

 また以前のコラムでも述べましたが「AIM」薬の投与により猫の腎臓の悪化が抑えられ、20年以上も長生きができるのではないかという「AIM」薬も期待されています。「ラプロス」は腎臓を完治する薬ではありません。あくまで腎臓の劣化を遅らせる薬です。ですから、早い段階から腎臓の状態を確認してステージの進行を遅らせることが、愛猫を長生きさせる効果的な治療だと思います。今年はぜひ愛猫の腎臓を知り、長生きできるよう対応してみてはいかがでしょうか。

 本年もどうぞZCCをよろしくお願いいたします。

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