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2024-06-12 

【コラム№40】梅雨の過ごし方と猫のネーミング

 こんにちは、ZCCの花島です。2024年も6月に入り、1年の半分を過ぎようとしています。これからは梅雨の時期に入り雨が多くなると思います。例年、線状降水帯による被害が出ておりますが、今年は被害がないことを祈るばかりです。今回は梅雨時の猫飼育の注意点と純血種猫の名前の由来など、少しお話ししてみたいと思います。梅雨時はなんといっても湿度が高くなりますから、カビや細菌の繁殖しやすい時期になります。食事後の食器の放置や湿ったペットタオル、おもちゃ、猫関連道具を清潔にしておく事が大切です。湿度があると臭いも気になりますから、除湿機や空気清浄機をうまく使うことをお勧めします。首輪をつけているような子は何本か首輪を用意して、まめに交換してあげることをお勧めします。首輪は身体に密着していますから皮脂や汚れで臭いがあったりと意外に気が付きにくいですが、結構汚れているんですね。またこの時期は冬毛から夏毛に変わる換毛期でもありますから、しっかりブラッシングをして無駄な毛は取り除き、清潔に保ってあげてください。ご存じのようにセルフグルーミングのしすぎで、胃の中で毛球ができる毛玉症も注意が必要です。また湿気の高いこの時期は唾液が蒸散しにくいので、気温が高く湿度が高いと熱中症の恐れもありますから、クーラーでの冷房・除湿を心がけることも大切かと思います。その他、市販のクーラーマットや冷え冷えグッズ等たくさん販売されていますから、利用されるのもいいと思います。カビに関係した疾患では「皮膚糸状菌症」(真菌症)があります。罹患するとなかなか厄介ですので十分注意をしてください。ジメジメした不快な梅雨の時期も、注意と工夫で快適に過ごす事ができますのでしっかり乗り切っていきましょう。
 
 次に純血種の猫のネーミングの由来や、品種として公認されるまでのエピソードなど今回は第1回目として取り上げてみたいと思います。それではアイウエオ順でまずは「アビシニアン」。アビシニアンという言葉からこの猫の原産国が「エチオピア」であることがわかる方は、歴史や地理に詳しい方かと思います。専門学校で授業をしていると今の学生はほとんど「エチオピア」が地球上のどこにあるかも知らない子が多くいます。エチオピアはアフリカ大陸にある1200年代からある最古の独立国と言われ「エチオピア帝国」と言われていました。ヨーロッパの人々は「アビシニア」と呼んでいて、これが「アビシニアン」の名前の由来だと思います。「エチオピアキャット」とか「エチオピアン」なんて可能性もあったのではないでしょうか?しかしエチオピアでは猫を愛護する文化が昔はなかったでしょうから、エチオピアの方が1品種として公認したわけではないのですね。エチオピアでは植民地化を図るイタリアとの第一次、第二次アビシニア戦争がありイギリス、フランスはエチオピアを援護していましたが、イタリアはエチオピアを植民地化しました。しかし移住、植民活動はうまくいかず、第二次世界大戦で連合軍の侵攻によりイギリスに占拠されたと言います。そういう歴史的背景の中でイギリスの兵士が持ち帰った猫が原点と言われていますが、エチオピアの猫がヨーロッパのキャットショーに出てくるにはただのエチオピアのドメスティックキャットではなかったという事なんですね。それは一般的に、ほとんどの猫の1本の毛は1色か毛先に着色があるティップなんですが、エチオピアのドメスティックキャットは1本の毛が数色の濃淡で表現された被毛だったので、珍しいということで1品種として公認されたのですね。その後、同じような被毛の「ソマリ」や「シンガプーラ」も1品種として公認されました。最近の研究ではこのティックドタビー遺伝子は、エチオピアがルーツではなくインド辺りにいた猫の遺伝子説やリビアヤマネコとも血縁が近いなどの見解もあるようです。それぞれの純血種の猫達には、調べていくと色々な背景やエピソードがあります。次回は数品種取り上げていこうと思います。ジメジメした不快な梅雨を元気に乗り越えていきましょう。

一般社団法人全国キャットクラブ 学術顧問 花島秀俊

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