2025-04-16
【コラム№50】猫の飼育状況
こんにちは、ZCCの花島です。4月に入り桜が満開な時期になりました。今年は例年と比べ三月に寒い日が続きましたので全国的に遅れた様子です。近年は4月の入学式にはほとんど桜は散っている状況でしたが、今年は桜が新たな門出を飾ってくれたのではないでしょうか。
多くの動物の専門学校卒業生達も、新たな社会人の門出を桜満開の中で迎えたことかと思います。
昨今世界的に経済状況が不安定で、日本においては米が昨年と比べ倍近い価格になり、各種日常生活品、食料品が値上がり、生活に影響を与えているようです。もちろん犬猫を飼育していく上でのペットフード、ペット用品も軒並み値上りし、飼育していく上で負担の重い時代になってきました。このような状況の中、飼育が減ることは生活の豊かさが失われることに繋がるので、ぜひ経済の回復と安定、動物の飼いやすい社会になることを願う次第です。
さて、2024年の「全国犬猫実態調査」(一般社団法人ペットフード協会)が報告されましたので、今回は特に猫について内容を検証してみたいと思います。犬の飼育頭数は679万頭、10年前の2014年は820万頭、10年でほぼ毎年確実に減少傾向にあります。猫の飼育頭数は915万頭、10年前の2014年は842万頭、10年間で少しずつ増加をしており、完全に猫の飼育頭数が犬の飼育頭数を上回ってきています。理由としては色々考えられますが、住宅事情や核家族化、猫は散歩がいらない等、様々な原因が考えられると思います。そして飼育状況の一番の違いは純血種、雑種の飼育割合です。犬は純血種88%、雑種12%、猫は純血種18%、雑種82%と猫は圧倒的に雑種(日本猫)が多いということです。これは歴史的に見ると野良犬の解消に起因し、犬の購入がショップやブリーダーからの購入になり、猫はまだまだ多くの野良猫がいるので保護して飼育する機会が多いということです。しかしこれは動物愛護法の改正による「猫の室内飼養」「猫の繁殖制限」等により、将来的には猫も純血種の購入、飼育が多くなると思います。
それでは猫の飼育状況についてみてみます。猫の新規飼育頭数は36万頭で2021年を境に毎年わずかながら減少傾向にあります。これは純血種の販売価格が高くなっている事に起因しているようです。飼育頭数にさほど影響がないのは、猫の高齢化により長く飼育している傾向があるようです。飼育年齢性別については女性の30代~50代の女性が多く飼育しているようです。猫の30代男性の飼育者が、犬の30代男性と比べて少ないのも気になります。この辺りは犬は外へ連れ出せると言う事なのでしょうか。平均飼育頭数は、猫は1.87頭、犬は1.31頭と猫の方が多頭飼育が多い事がわかります。ペット飼育意向のきっかけは犬猫ともに「生活の豊かさ」「過去に飼っていた」「生活を充実させたい」が共に上位を占め、次に犬は「周りの人が飼っていて羨ましいと思った」、猫は「愛情をかける対象が欲しかった」となり、この辺りから犬愛好家、猫愛好家の違いを垣間見ることができるような気がします。世帯別年収新規飼育率を見ると年収500万円~1000万円が犬猫ともに多くみられます。犬猫の購入価格が高くなっているので、ある程度余裕が必要ということでしょうか。品種ではもちろん猫は雑種が8割を占めますが、純血種は高い順にアメリカンショートヘア、スコティッシュフォールド、マンチカン、ノルウェージャンフォレストキャット、ペルシャ、ベンガル、メインクーンとなり、マンチカンが上位に入っていることで人気の高さが伺えます。ここには記載はないのですが、当店でのトリミング品種を見ると、長毛のマンチカン、ミヌエット、エキゾチックロングヘア、ブリテッシュロングヘアの長毛種の飼育者が増えている印象を受けます。猫の平均寿命は16歳で着実に高齢猫が増えている傾向がみられます。特に16歳以上の猫の生存率が5年前と比べかなり高くなっています。この辺りは飼い主の病気に対する意識、食事の高品質化、医療機関の増加や技術の進歩などが考えられます。
毎年「全国犬猫実態調査」が公表されますが、猫の飼育頭数が僅かながら着実に増加の傾向が見られます。現代社会に合っている良きパートナーなのでしょうね。これからは気温も上がり、過ごしやすい日々が続きますので猫との快適な暮らしをお楽しみください。