2025-09-18
【コラム№55】猫とマダニと SFTS
こんにちは、ZCCの花島です。9月に入り2025年も残すところ4ヶ月となりました。今年の夏の異常な暑さに会員の皆様は、どのような対策をして過ごされましたでしょうか?エアコンを24時間使うというのは当たり前になってしまいましたね。私にとって今年一番の暑さ対策はネッククーラーでした。ネッククーラーといっても多岐にわたり、水を含ませ気化熱で冷やすもの、冷媒を冷凍庫で凍らせて冷やすもの、充電式で風を送るものとたくさんの商品が出回っていました。今年私が使ったのは某電気量販店を訪ねた際、レジ脇にひとつ10円の在庫処分ネッククーラーが置いてあり「10円か!」と興味本位で数本購入しました。これは水につけておくと中の吸収体が水をたっぷり吸って膨らみそれを首に巻くという品物です。これが実にひんやりと首回りを涼しくしてくれました。そして何より良いのが、ひんやり感がなくなったらまた水につけると何度でも使えるという便利さでした。屋外でも室内でも本当に助けられた逸品でした。
今年の8月の最高気温は7月に続き、群馬県伊勢崎市での8月5日の41.8度でした。人の平均体温が約37度で、それを超えると発熱しているという訳ですから、41.8度というのは体温で言ったら瀕死の状態に値するくらいの温度なんですね。昔、那須湯本温泉の「鹿の湯」という立ち寄り湯で、ここは41度から48度まで温度が異なる浴槽が6つある温泉ですが、最低の41度でも1分も入れないという温度ですから、お風呂とは違いますが41.8度という気温は辛いですね。また8月は雨の日も少なく、東京都では10mm以上の雨の日が3日しかなかったのですから植物にとっても厳しい8月であったと思います。
今回は最近、注目を浴びている?マダニについて取り上げてみたいと思います。今年6月SFTS(重症熱性血小板減少症候群)に感染した猫を治療した獣医師がその後死亡したという事例がありました。これにより猫とマダニの危険性が懸念され、猫を飼うのは控えようという気運があったと聞きましたので、正確な情報を確認してみたいと思います。マダニというと散歩をする犬に寄生することはよく知られています。もちろん外に出ている猫にもマダニが寄生します。マダニは一般的に春から夏にかけ活発に活動します。マダニは卵→幼ダニ→成ダニと吸血と脱皮を繰り返しています。猫の頭部や耳に寄生し吸血すると大きさが100倍にもなります。この状態では確認しやすいので駆除がしやすいのですが、無理に引っ張ると口器が残り皮膚病の原因になったりします。マダニによる猫の感染症としては従来は貧血を起こす「猫ヘモバルトネラ症」が知られていますが、今回「重症熱性血小板減少症候群」が確認されました。国内では平成25年に報告されて以来最近は年間100例を超えているそうです。これまでは西日本を中心に報告されていましたが、今年7月初旬に北海道の方がマダニに噛まれていることに気づきその後、発熱、頭痛、筋肉痛を感じ医療機関を受診、ダニの刺咬歴、臨床症状や血液検査から医師がSFTSを疑い、保健所へ連絡、検査の結果SFTSが陽性と確認されたそうです。SFTSの感染経路はウィルスを有するマダニの刺咬が中心ですが、SFTSに感染した犬や猫からの感染も報告されています。対策としてはマダニに噛まれない事、草の茂ったマダニの生息する場所に入る際は、長袖、長ズボンを着用、サンダルなどは避けて肌の露出を避けることが大切です。犬や猫の外出後の体表チェックや、細かい目の櫛をかけることも大切です。またペット用のダニ駆除剤も効果的です。マダニに噛まれたら無理に自分で引っ張ったりせず、直ちに皮膚科を受診し、マダニの頭部が残らないように処置してもらうことが重要です。また、マダニに噛まれた数週間後に体調の変化や発熱があった場合は内科を受診してください。猫にマダニの咬着が認められた際は、自分で取らず、獣医師に除去してもらうことが大切です。マダニは屋外にいる寄生虫ですから、一般に室内飼養の猫が感染する確率は非常に低いと思います。猫を飼ったらSFTSに感染するわけではないので、正しい知識のもと安心して猫との楽しい生活を過ごしていきましょう。
最後に11月1日に「ZCCキャットショー大阪展」が大阪南港ATCホール[Lovelyにゃんフェスタin大阪2025]内で開催されます。多くの皆様のご出陳をお待ちしております。